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<転載開始>
最近、私は本屋にあまり行かなくなりました。
それゆえ最新のトレンドに疎くなってしまったかもしれません。
『今日、誰のために生きる?』という本に関しても、知ったのは当HPの掲示板への書き込みでした。
さっそくアマゾンで注文しようとしたんですが、売り切れでした。発売日が10月21日で、その翌日か翌々日だったのでまさか売り切れということはないだろうと思っていたので、驚きました。おそらくあっという間に完売したのだろうと思います。
アマゾンの実用・暮らし・スポーツの売れ筋ランキングで1位になったみたいなので、読まれた方も多いと思います。
初版で完売したのだから、そのうち増刷されるだろうと待ってやっと買うことができました。
今回は、その『今日、誰のために生きる?』(ひすいこたろう×SHOGEN著、廣済堂出版)から、私の印象に残った話題を紹介させていただこうと思います。
以前の記事でもペンキ画家ショーゲンさんのことを紹介しましたが、ショーゲンさんはティンガティンガというペンキ画の修行の為、日本でのサラリーマン生活を止めてアフリカのタンザニアのブンジュ村に行きます。
ティンガティンガがどんな絵か、以下のサイトが参考になるので貼っておきます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001537.000031382.html
ブンジュ村でショーゲンさんは、ティンガティンガの修行に勤(いそ)しむのですが、勉強したのは絵だけでなく、人生勉強もあったようです。
それも縄文時代の日本人の知恵のようなものを学んだということですから、興味深いです。
今回は、「思いを人に伝えることの大切さ」といった話題です。
日本人であれば、一度約束したことはできる限り守ろうとします。
しかしアフリカ人は、おおらかというかアバウトというか文化の違いというか、その場の都合で約束を守ってくれないことがあるようです。
そんな時に大切なことは、自分の強い「思い」を相手に伝えることで、その思いがちゃんと伝われば約束を守ってくれるようです。
まず、そんな話題から紹介させていただきます。
・・・<『今日、誰のために生きる?』、p97~p99から抜粋開始>・・・
思いを丁寧に伝える挑戦
ある日のこと。僕は描きためた絵を日本に送るために、きちんと梱包できるダンボールを探していました。アフリカでは、日本とは比較できないくらいに物資が乏しいので、ダンボールはとても貴重です。ブンジュ村にダンボールはなかったので、バスで1時間半くらいのところにある小さな売店に行くことにしました。売店の主人に、ダンボールがほしいとお願いすると、「2週間後に取りに来て。取っておくから」と言われました。
2週間後、僕はまた1時間半バスに乗って、その売店に行きました。
「ダンボールを取りに来たよ」と伝えると、店主は「ほかの人にあげちゃった」と言うんです。
「取っておいてくれるって言ったじゃないか!」
僕は思わず怒鳴ってしまいました。だって片道1時間半かけて2回も来ている上に、2週間も待ったんだから。
でも、どんなに怒っても、ないものはない。「もういいよ!」と、僕はまたバスに1時間半揺られて、ブンジュ村に帰るしかありませんでした。
僕がプリプリ怒りながら歩いていると、村長が声をかけてきたので、この経緯を伝えました。すると、
「ショーゲンより、思いの強い人のところへダンボールは行ったんだね」
と、言いました。
思いの強い人? それなら僕だってめちゃくちゃほしかった!
すると、村長は僕にこう言いました。
「ただほしいというだけじゃなくて、なぜほしいのか。
そういう思いをちゃんと伝えられたの?
大切なことを、はしょってはいけないよ」
「言っても無駄だ」と僕が言うと、村長は「やってみないとわからないでしょ」と言います。
村長は「自分の思いをちゃんと伝える挑戦をしてきなさい」と、今すぐもう一度、その売店に行くように言うのです。
僕はしぶしぶバスに乗って、またその売店まで行きました。
そして、さっき怒ったばかりの店主に向かって、僕は言いました。
「一方的に怒ってしまってごめんなさい。僕はこの村で感じた温かさを、絵を通して伝えたいんです。日常にあふれる小さな喜びを絵にすることで、日本人に幸せを感じる心や感性を取り戻してほしいと思っているんです。日本に絵を送るために、どうしてもダンボールが必要なんです」
すると、「そうだったのか」と彼は言い、「なぜダンボールがほしいのか、わかったよ。もう1回、2週間後に取りに来て」と言いました。
僕が2週間後、またパスに乗って売店に行くと、今度はちゃんと取っておいてくれました。
ダンボール1枚。これを手に入れるのに、4度もバスで往復して約1か月かかりました。僕はそのダンボールを大切に持ち帰り、夜寝る前に枕元に置きました。
ほしい物が手に入るということは、こんなにも嬉しいものなんだ--。
僕は嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった。
この日、僕は生まれて初めて、そういう喜びを感じました。
・・・<抜粋終了>・・・続きを読む