https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/37582
<転載開始>
(2026年3月18日付掲載)

田植えに向けて苗作りのための種まきをする農家(下関市)
1、タネのあり方を変える二つの柱

印鑰(いんやく)智哉氏
現在、開かれている今国会(特別会、第221回国会)で日本のタネのあり方、食・農業のあり方を大きくかえてしまう法制審議が行われることが予想されています。種苗法再改正法案や革新的新品種開発のための新法などの法案が提出されると報道されています。法案の詳細はまだ発表されていませんが、大きな影響を社会に与えることは必至と思われますので、政府のさまざまな文書から今後想定されることをまとめます。
タネのあり方を変える構想については2014年に始まる内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」で二つの基軸が打ち出されています。その一つが「データ駆動型育種プラットフォーム」であり、もう一つが「ゲノム編集育種コンソーシアム」です。
この構想が出てくる背景には遺伝子技術の進歩によって、遺伝子解析によって得られた塩基配列情報(Digital Sequence Information、DSI)さえあれば、望む形質を持った生物を実現することも展望できる時代になったことがあります。
そこで世界中の植物の遺伝子情報などをデータベースに放り込み、そのデジタル情報から最適な組み合わせをAIを使って選び、効率的に交配させることで、高速で望む品種が開発できるAI育種が今、注目を集めることになりました(育種とはタネを育てる、という一般的な意味ではなく、品種改良を意味する専門用語です)。国をあげてこの育種ビッグデータを集める、という構想です。
AI育種では必ずしも遺伝子組み換えやゲノム編集を使わず、通常の交配技術をベースに新品種を作ることができるので、遺伝子操作しないならばいいと思われるかもしれません。
しかし、この育種方法には大きな問題があります。
続きを読む




