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<転載開始>
西欧近代と宗教思想の関係について読んだことを少し書いたので(『現代文明論 上 「西欧近代」再考』のKW参照)今度は日本の神道について。いくつか見て1番読みやすそうだったこの本を読んでみました。結構目から鱗が落ちるような、なるほどなーという思いです。
幾つか抜き出すと…( [ ]内は目安のために自分で付け加えた。)
[一神教とのちがいについて]
豊な土地にいたから、日本人は自然の恵みに神を感じた。しかし、生活をするのが困難な砂漠のような土地に住む人間は、自然現象を人間の敵と考えざるをえなかった。そして、そのような生存に適さない土地の人間は、人間に厳しい掟を下す一神教をつくった。
砂漠地帯などの自然の脅威は永続的なものだ。それにたいして、台風、洪水、地震、噴火などの日本の天災は一過性のものにすぎない。それゆえ日本人はそういったものを一時的な神の怒りと説明した。p16
[仏教との関係について]
平安のはじめに、空海(真言宗の開祖)が、中国の密教を日本にもちこんだことによって、日本仏教のあり方は大きく変わった。密教僧が呪術を用いて出世病気回復などのさまざまな願いをかなえる事ができるとされたからである。
これによって、自然を整えるのが神の役目で、個人的な望みを聞くのが仏の仕事だとする発想が次第に定着していった。そして、地獄・極楽のしそうが広まるにつれて、僧侶のもっとも重要な仕事は、人々を極楽浄土に導くことだとする考えがつくられていった。この流れを受けて、江戸時代に寺院が葬礼や墓地の経営を扱うようになった。p18-19
[神について]
近代以前の神道を解釈した書物には、「神は聖人である」とか「人の心の中に神がいる」とか「正直者の霊が神としてまつられる」「祖先が神である」といった解説が見られる。こういったさまざまなものを総合していくと、「あらゆるものの霊魂が神である」という考えにいきつく。人間も動物も、山や川、あるいは雨や風といった自然現象も、霊魂をもっている。この霊魂は、本来清らかなものである。そして人間が何らかの霊をまつったときに、それは神になる。p28
神道は、神を中心とするものではなく、人間を中心とする宗教である。神を信仰する者がいるから、神が存在するのだ。p31
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