https://www.chosyu-journal.jp/column/33659
<転載開始>
アメリカで「犯罪の温床となっている不法移民を強制送還する」とトランプが息巻いている。しかし、もともとアメリカ大陸で暮らしていた先住民のインディアンからすると「アングロサクソンのおまえたちこそ、勝手にアメリカ大陸に乗り込んできた不法移民みたいなものではないか!」という理屈が成り立つのだろうし、その後、不法にアフリカ大陸から奴隷として連れてこられた黒人たちからすると、「奴隷や移民のおかげで国が存立してきたくせに何をいってんだ」という思いにかられてもおかしくない。ルーツからすると、そうなるのである。
アメリカ合衆国の建国の歴史を改めて考えた時、それはイスラエルがガザを壊滅的なまでに攻撃し、パレスチナ人を殺戮しまくっている現実と酷似している。イギリスに居場所を失った清教徒たちがアメリカ大陸に渡り、荒野のなかで厳しい冬を迎えて病気で半数が死ぬというような過酷な状況下をインディアンに助けてもらったのに、その後、そうした先住民のインディアンたちを殺戮しまくって、力尽くで奪い取ってこしらえたのがアメリカ合衆国である。毛布に天然痘を仕込んでインディアンにプレゼントし、意図的に疫病を流行らせて殺戮したり、研究によってあぶり出されているいくつかのエピソードだけ見ても残酷極まりない手口である。西部劇にもその傲慢さはにじみ出ている。
インディアンたちからすると後発のアングロサクソンこそが「不法移民」みたいなものなのである。凶暴に他人が暮らしている地に乗り込んで破壊・殺戮の限りを尽くし、入植し、異民族を虫けらのように殺めていく様は、今日のイスラエルのそれと変わらない同質のものでもある。黒人奴隷たちをアフリカから連れてきて、牛馬の如くこき使ってきた歴史もまたアングロサクソンの思い上がりを反映しているが、都合よく引っ張ってきたり追い出したり、侮蔑したり、実に勝手なものである。
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