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<転載開始>
(2025年11月26日付掲載)

講演会「阿蘇の農業が日本を救う」(11月19日、熊本県・南阿蘇村)
熊本県南阿蘇村で11月19日、「阿蘇の農業が日本を救う」と題して、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏、有機農業にとりくむ(株)菌ちゃんふぁーむ代表取締役の吉田俊道氏による講演会が開かれた。主催は南阿蘇村が設立した「南阿蘇村農業みらい公社」。南阿蘇中学校体育館には、同校の全校生徒や教員ら250人をはじめ村内外から500人余りが詰めかけ、「令和の米騒動」にまで至った日本の農業の現状と課題、食料安全保障を担う地方から安全でおいしい農産物を生産して供給していく展望について認識を共有した。
地方の農業が日本の明日を救う
講演会に先立ち、南阿蘇村農業みらい公社の田尻徹氏が太田吉浩村長のメッセージを代読。「南阿蘇村は農業が作り出す田園風景が魅力でたくさんの観光客に来ていただいているが、他の自治体と同じく農家の高齢化が進み、10年後には誰がコメを作るのだろうかという声も聞こえてくる。その強い危機感から4年前に村が全額出資して農業みらい公社を設立した。収支面ではまだ軌道に乗っているとはいえないが、地域おこし協力隊制度などを活用した後継者育成にもとりくみ、卒業生が管内で新規就農するなど実績も出ている。お二人からは、日本の食料の安心安全に向けた提案や地域の資源を活用した野菜の栽培技術などを学ばせていただきたい。農業関係者のみならず将来の村を担う子どもたちにとっても、農業を考えるうえで重要な機会であるとおおいに期待している。今日得た学びや気づきが、村の農業が大きく飛躍する契機となることを願っている」とのべた。

鈴木宣弘氏
鈴木宣弘氏は、日本の食料自給率は種や肥料の自給率も考慮すると38%どころか実質は10%程度であること、「海外からの物流が停止したら世界で最も餓死者が出るのは日本」と試算されている危機的な現状を伝え、国内農業を疲弊させて日本をアメリカの余剰生産物のはけ口としてきた戦後政策を見直し、国内農業を守り増産に舵を切る必要性を説いた。
「『令和の米騒動』も根本原因はコメ農家の疲弊にあるにもかかわらず、それを放置して流通悪玉論や農協悪玉論が展開され、米国産米への市場開放や農協組織を外資へ差し出すためのストーリー作りがなされている。さらなるコスト削減とスマート農業と輸出だけ叫んでも、農村コミュニティも国民へのコメ供給も維持できない」と警鐘を鳴らし、政治が迷走するなかでも、地域の種を守り、生産から消費までを「運命共同体」として循環させる「ローカル自給圏」を構築し、地方の産地から食料安全保障を守る大運動を起こすことを訴えた。
吉田俊道氏は、今全国で広がる有機農業の具体的手法として自身が推奨する「菌ちゃん農法」を紹介した。これまで難しいとされてきた有機農業を誰でも簡単にできるように改良した実践例を伝え、そこでは「悪者」とされてきた菌や虫などの生き物の生態を知り、むしろ菌と繋がる発想の転換が重要である点を強調。共生社会の原点として有機農業を捉え直すことで、地方が活性化し、食料危機に耐えうる強い社会づくり、人間づくりが可能になると説いた。
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衆議院が解散し、10月10日公示、22日投開票の解散総選挙に向けて政局がめまぐるしく動いている。今回の解散はモリ&カケ隠しといわれるように、目に余る私物化政治が暴露されて身動きがとれなくなった安倍政府が、その自己都合から突破をはかって仕掛けたものだ。ところが、目下、安倍晋三の意図やコントロールを離れたところで「安倍政府VS小池新党」であるかのような装いで批判世論や争点をそらした劇場型選挙が動き始め、何が何だか分からないうちに野党を解体し、選挙後はより右傾化した総翼賛体制にもっていく動きがあらわれている。米日支配層にとって、総理大臣が安倍晋三であるか否かなどどうでもよい問題で、支配の枠組みを維持し安定させるために、自民党とガス抜き装置としての小池新党その他を両天秤にかけながら、彼らを転がして総選挙後はいかようにも体制を確保していく狙いを暴露している。記者座談会をもって情勢を論議した。