長周新聞さんのサイトより
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/sesujikooruTPPnosinjitu.html
<転載開始>
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背筋凍るTPPの真実 東京大学教授 鈴 木 宣 弘 2016年9月21日付 |
「東京オリンピックまで続けたい」という発言に象徴されるように、「米国に追従することで自らの地位を守る」ことを至上命題として、国民の命と生活を犠牲にする政治は限界に来ている。米国でも批准が極めて困難になっているのに、オバマ政権のために何とかTPP(環太平洋連携協定)を決めてあげたいと、さらに水面下で国益を差し出し続け、ひとり批准を急ぐ日本政府は国民をどうするつもりなのか。背筋凍るTPPの真実を振り返ってみよう。 日本は米国の草刈り場 去年の10月にアトランタで「大筋合意」が行われて、歴史的快挙だなどと言われたが、その裏で何があったのか。日本はアトランタに行く時に、「今度こそオバマ政権の為に、TPPを決めてやる。譲れるものはすべて譲る」という方針だった。農林水産業に関しては、すでに1年前に譲り終えていた。TPPは自動車で日本に利益があるからそれは確保したいと考えていたが、それさえも譲ってしまって、もう譲るものがないから交渉会場をブラブラしていた。それを見て他の国は、「あれほどの経済大国日本が、国民の利益をアメリカによくそこまで譲れるものだ。日本はアメリカの草刈り場みたいなものだ」と感心していたという。それに対して日本は「何だ。他の国は国民の利益を守るなどといって、まだアメリカと闘っているのか。早く譲ったらどうだ」と怒っていたという。 日本がTPPの最終合意に向けて切り札として用意していたのが「玉虫色」だと政権党幹部がアトランタに行く前に漏らした。「最後までもめる案件が残ったら、そこは日本の得意技『玉虫色』で、どっちにも取れるような表現で条文を作って、形式だけでも決まった形をつくろう」と言っていたが、本当にそうやった。 新薬のデータ保護期間だ。政治と結びつく巨大製薬会社が、「人の命を縮めてもデータ保護期間を長くして、安いジェネリック薬を作れないようにせよ」と要求していた。それに対してオーストラリアやマレーシアが「そんなことをしたら人の命が救えない」と反対した。米国は当初20年、最終的には12年と言っていたが、オーストラリアやマレーシアは5年と言って隔たりは縮まらなかった。そこで日本が登場して、8年とも五年とも取れる表現を作って条文にしてしまった。だからTPPは決まって進んでいるように見えるけれども、条文の解釈をめぐって今でももめている。オーストラリアは「五年だ」と言って、米国は「そんなわけはないだろう」と怒っている。これが実態である。これを日本が演出したのだ。 日本政府は、自動車での利益確保に、ハワイ会合を決裂させるほどにこだわった。アトランタで合意する2カ月前にハワイでTPPが決裂したときの直後の記者会見で甘利さんが血相を変えて、「ニュージーランドが酪農分野で頑張ったのが戦犯だ」と言った。あれはウソである。日本が自動車で頑張ったのが大きかったと海外のメディアは一斉に書いていた。ところが日本のメディアは全部ニュージーランドが戦犯だと書いた。日本ではTPPで自動車の利益が得られないということが知られるとまずいことになる。だからマスコミを抑えた。 |