https://note.com/hiroshi_arakawa/n/n2c64e8ef1902
<転載開始>
自己増殖型mRNAワクチンであるレプリコンワクチンは、細胞内でmRNAが増殖するという機序を持ちます。mRNAの増殖が細胞内だけに間違いなく留まるのであればリスクは限定的かもしれませんが、そうとは限りません。なぜなら、エクソソームなどの細胞外小胞によってmRNAが細胞外に分泌される仕組みがあるからです。また、mRNAの配列は増殖の際に不変でもありません。本来RNA複製の変異率は高く、RNAが増殖の過程で「進化」し得るからです。
カプシドとはウイルスのゲノムを取り囲む「殻」の事ですが、レプリコンワクチンはカプシドの遺伝子を持っていません。では、レプリコンワクチンがウイルス様の粒子を作る恐れはないのでしょうか?
RNAレプリコンが感染性ウイルス様小胞 (virus-like vesicles, VLV) を産生する現象をRoseのグループが発見したのは1994年の事です (Rolles et al. 1994)。アルファウイルスRNAレプリコンに水胞性口炎ウイルスの糖タンパク (VSV G) を発現させるとVLVを産生し、なおかつ細胞間で感染できたのです。しかしながら、カプシドを持たないVLVが生成されるメカニズムに関してはそれから20年間も謎のままでした。今回はその後同じグループがその機序を解明した2014年の研究を紹介させていただきます。しかもこの研究では、VLVが試験管内の培養の過程で自律的に進化し、感染力が1000倍にも増加したのです。
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