株式日記と経済展望さんのサイトより
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/47cb961c6e12f170ad83e749d175aafb
<転載開始>

中国で投資をするなら、少なくとも元本だけでも5年以内に回収すること。
投資額は、全部スッてもあきらめがつく範囲に限ること。


2012年9月22日 土曜日

北京への赴任者に贈ったことば  9月19日 泉 幸男

 わたしのイメージしてきた中国。

■ 暴動予報の時間 ■

 たまたま反日暴動だから日本で報道されるが、もともと年に10万件の暴動発生が推定される中国だ。

 高気圧や低気圧の配置や、ゲリラ豪雨の発生を、朝晩の天気予報で解説するように、
「さて、きょうは浙江省南部から暴動が北上しています。
山東省済南市や天津市でも暴動注意報が出されていますので、十分ご注意ください。
そのほかご覧の赤い点々の地域が要注意です。
それでは、道路情報です。鈴木さん、おねがいします…」

 そんな 「中国暴動予報が淡々と毎朝テレビで報じられる」 日が来ても驚くまいと心に決めていた。

■ 昆虫の群れ ■

 平成元年の天安門事件のとき北京にいて、6月7日か8日の夜の日航機で東京に一時帰国したわたしたち夫婦だ。
 「あのときより怖いわね」 と、テレビを見ながら家内が言った。

 あのときは矛先が日本ではなかったから (そして報道も制限されていたから)、北京にいても怖さというのを感じなかった。
 帰国便に乗ってから、だいじなものや思い出の品など何も携えなかったことに、はっと気がついたくらい緊張感がなかった。

 つねづね、中国反日が報じられても、
「あれは反日デモの盛り上がってるところだけ映してるから。じっさいはみんな、たらっとしてるんです」
と言ってきたわたしだけど、今回の反日暴動同時多発は正直、23年前よりもずっと怖いと思った。

 人間というより、巨大な昆虫の群れを前にしているような。あの、たらっとした 「人間」 たちの世界ではなくなっている。

■ 1度ぽっきり ■

 このあいだ、北京に赴任するひとのための歓送会があった。そこでぼくが挨拶して言ったのが

・中国でやるプロジェクトは、つねに1度ぽっきりだと思うべし。
 「同じような案件が10件20件と出てくるから、最初から儲けなくてもいい」
 などと考えないこと!


 初号案件をいかに赤字でとっても、中国人は
 「外国人は儲けている」
 と考える。そして2号案件からは中国人だけでやる。

・投資をするなら、少なくとも元本だけでも5年以内に回収すること。

・投資額は、全部スッてもあきらめがつく範囲に限ること。

■ 大衆と面で接するな ■

 挨拶の時間がもう少し長ければ、こんなことも言いたかっ
た。

・中国に出ていくとしても、大衆と面で接する投資は避けたほうがいい。裏方に徹するべきだ。

・いま日本にいる我々が周囲を見渡しても、中国資本や韓国資本がぎらぎらしている姿はない。

 中国人がイメージする 「あるべき中国」 も、そういうものだ。
 中国の一般大衆の前で日本がぎらぎらするものは、どうせ長続きしない。
 だから、大衆と面で接する投資はとくに、短期間で収益を回収しなければならない。

・日本の中国貿易で長続きするのは、中国大衆の目に見えない基幹部材や特殊素材の輸出だけだと割り切るべきだ。 
 他のことをやるなと言うわけではないが、「しょせんは短期の商売だ」 という割り切りが必要。

■ 余裕、ですかね ■

 こういうことを言っているからか勤務先では、周囲のだれよりも中国通でありながら、中国駐在のはなしはおろか、中国ビジネスについての相談に加えられることもない。

 だから、わたしの意見は勤務先の見解とは異なる、のであろう。勤務先にそれだけ余裕があるわけで、結構なことである。

 べつにすねているわけではなく、もっと有望な長期的市場を担当しているのでご安心ください。


泉/幸男
昭和34年、愛媛県松山市生れ。昭和57年、東京大学法学部卒業。昭和59年、東京大学教養学部教養学科卒業(ロシア・朝鮮地域研究、卒論をロシア語で書く)。同年、総合商社に入社、以来発電プラントの輸出に携わる。昭和62年~平成元年、中国・北京に駐在。以後、中国・広東省、香港、フィリピン、タイなどで発電プラントの契約交渉・履行にあたる

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